からかわないでよ、千景くん。
千景くんの隣に、ちょこんと座る。
「寒くない?」
「…ん」
千景くんが隣にいてくれることが、 ただそれだけで——幸せ。
そっと、千景くんの方に体重をかける。
「今日は、甘えん坊なの?」
「…席、離れちゃったから」
「はは」
笑う千景くんの声が、優しくて、少しだけ切ない。
ずっと、あのままでよかったのに。
「笹村の隣だったね」
「うん」
「嫌なの?」
クスクス笑ってる声が、上から聞こえる。
「……嫌じゃないけど、 千景くんの隣がよかったの」
むすっとした顔で答えると—— 千景くんは、ぎゅっと私を抱き寄せた。
「なずなは、俺がいないとだめだね」
耳元で、そんなこと囁くから—— 胸が、キュってなる。
反則だよ、千景くん。そんな声で、そんな距離で言われたら—— もう、何も言えなくなる。
……そうだよ、千景くん。
私は、 千景くんがいないとだめなの。