からかわないでよ、千景くん。
「千景のことだから、心配しなくていいと思うけどね?」
志緒ちゃんは、千景くんが私を想う気持ちに—— いつも絶対の信頼を寄せてる。
「……そうだといいな」
「そうだよ。千景、なずなのこと好きすぎるもん」
「……ほんと?」
「ほんと。前も言ったけど…あの人、なずなにしか見せない顔いっぱいあるよ」
その言葉が、心の奥にじんわりと染みていく。
信じたい。信じていたい。
「……ありがと、志緒ちゃん」
「いいって。でも、もし不安になったら、私が千景に説教しとくから」
「それはちょっと怖いかも…」
2人で笑いながら、階段を降りていく。
私もね? 私も、千景くんの気持ちを疑ってるわけじゃないんだけど——
ただ…。
平さんと楽しそうに話してる姿を見ると、胸がチクっとする。
千景くんが笑ってるのは、私の知らない話題で。私の知らない時間で。
「大丈夫」って、何度も自分に言い聞かせるけど——
それでも、 不安になる。
好きだからこそ、独り占めしたくなる。
でも、そんなこと言ったら、重いって思われちゃうかもしれない。