からかわないでよ、千景くん。
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放課後、急いで学校を出る。
千景くんからの返信はない。既読すら、ついていない。
千景くんのご両親は、基本帰宅が遅い。だから、今この時間は—— 千景くんひとり。
千景くん、千景くん…。はやく、会いたい。
コンビニで必要なものを買って、千景くんの家へ急ぐ。
息を切らしながら、チャイムを押す。
ガタッ—— 中から音がして、ドアが開いた。
出てきたのは、スウェットを着た千景くん。
「えー…なずな?」
熱のせいで、顔が赤くて、目も少しとろんとしてる。
「……来ちゃった」
「……なんで」
「心配だったから。返信もなかったし、顔見たくて」
そう言うと、千景くんはへらっと笑った。
その顔を見て、これはやばいと思った。
「ありがたいけど…帰って」
はぁ、と私よりも息を切らしながらそう言う。
帰るわけないじゃん。こんな姿、見て。
「……帰らないっ」
強引に家に入る。
「お邪魔します!」
そう言って、リビングへ。
千景くんは、苦しそうな表情で私の後を追って来た。
「ね、お願いだから帰ってくれない? 大丈夫だから」
冷蔵庫の中に、買って来たものを入れながら—— 千景くんの方に、チラッと目を向ける。