からかわないでよ、千景くん。
どこが、大丈夫なの? ふらふらして、汗もかいてる。
「千景くんは寝ててっ!」
怒った口調でそう言うと、千景くんは諦めたのか、のそのそとリビングを出て行った。
とりあえず、冷えピタとポカリを持って—— 2階へ。
千景くんのお部屋に入ると、ふわっと、千景くんの匂いに包まれる。
この部屋に入るの、2回目だな—— なんて、思ってる場合じゃない。
ベッドで苦しそうに目を瞑っている千景くん。
そっと、冷えピタを貼ると—— 驚いたのか、目を開けた。
「……なずな?」
「うん。冷えピタ貼っただけ。 ポカリもあるから、あとで飲んでね」
「あれ、なんで…なずながいるの?」
「え?」
千景くんの声は、ぼんやりしていて、熱に浮かされてるみたい。
ねぼけてる? そんなに熱、高いの?
そばにあった体温計のスイッチを押すと—— 前回測った数字が表示された。
「38.8…」
高い。やっぱり、全然大丈夫じゃない。
「ゴホッ、ゴホッ」
千景くんが咳をしだす。
「千景くん、病院行ったの…?」
返事はない。目を閉じたまま、苦しそうに息をしてる。
どうしよう。もし行ってないんだとしたら、行かないと。
保険証はどこにあるんだろう。
それに、車…タクシー? あぁ、どうしよう。
頭の中がぐるぐるする。