からかわないでよ、千景くん。
冷蔵庫に買って来たものを入れながら、「寝てて!」と怒られた。
今日のなずな、強い。
でも—— それが、なんだか嬉しくて。
仕方なく言うことを聞いて、部屋へ戻る。
また、天井を見つめる時間が始まった。
頭がボーっとする。
熱のせいか、思考がまとまらない。
あー……。なんでここにいるんだっけ。
今、何時?
……どうでもいいか。
というか、さっきまで—— なずな、いなかったっけ?
夢? 現実? わかんない。
考えるのも疲れるし、もう寝よ。
目を閉じると、なずなの顔が浮かんだ。
それだけで、少しだけ、呼吸が楽になった気がした。
額に冷たい感触がして、思わず目をあけた。
「……あれ、なんで……なずながいるの?」
夢じゃなかったっけ? なにしてるの?ここで。
学校は?……まあ、夢でもいいか。
なずながいるんだったら。
ぎゅっと、なずなの手を握り締める。
かわいい、小さい手。俺の手よりずっと細くて、あったかい。
「昨日、ごめんね……私、寂しかったの。 千景くんが、私以外の女の子といるのが嫌だったの。私だけの千景くんでいてほしいのに…… こんなこと言ったら、嫌われるかもって思って……」
目を瞑っていると、なずなの苦しそうな声が聞こえた。