からかわないでよ、千景くん。
頭がボーっとして、ほとんど理解できなかったけど—— なずなが余計なことを言っていたのは分かる。
「なずなは……バカだし、やっぱり俺のこと舐めてる」
言いながら、 自分でもひどいって思う。
でも、止まらない。
なずなはね、何も考えずに俺のとこにいれば、それだけでいいよ。
「俺の気持ち信じないくせに、すぐ欲しがるし、全然いうこと聞かない」
わがままで、頑固で、すぐ泣くくせに—— でも、そんなとこが好きなんだよ。
「ほんとっ……どうしようも、ないね」
どうしようもないくらい、好きなんだよ。
なずなだけが、俺をこんなふうにする。
起き上がった瞬間、頭がくらくらして、自分が今何をしてるのかさえ分からなかった。
口も、体も、勝手に動く。
「はっ…んぅっ…んっ…っ…!」
なずなの声が、耳に届く。
甘くて、震えてて、—— 頭の中に響いて、離れない。
もっと、聞きたい。もっと、俺でいっぱいになってほしい。
他のことなんて、考えられない。なずなのことしか、見えない。
なずなの感情も、体温も、全部俺で満たしたい。