からかわないでよ、千景くん。
そうじゃないなら、なに……? 悲しいし、寂しいよ。
千景くんが、ぽつりと呟いた。
「思い出した。熱出した日、なずなに何したか」
「あ……」
その言葉で、私も一気に思い出して—— 顔が、真っ赤になる。
「なずなの気持ち考えずにあんなことして、さすがに反省」
え……。 えっ。 そんなこと、思ってたの?
そんなの、いいのに……。
「俺だけが、したいって思ってても意味ないし。 なずなのこと、怖がらせた」
千景くんは、難しい顔をしてる。
でも—— 私、怖くなんてなかったよ。
むしろ、嬉しかった。千景くんが、私のことをそんなふうに思ってくれてるって。
千景くん、あのね。すごく言いづらいんだけどね……
「私、千景くんにされて嫌なこと、ひとつもないよ。むしろ、もっと触ってほしいし……私だって、千景くんのこと触りたいもん……」
言った瞬間、顔が熱くなる。恥ずかしい。でも、ほんとのことだから。
志緒ちゃんに言った通り—— 私は、もっとくっついてたいの。
千景くんの手が触れるだけで、心があったかくなる。
千景くんの声を聞くだけで、胸がきゅんってなる。
だから、もっと近くにいたい。もっと、千景くんに触れていたい。
それって、変かな……?