からかわないでよ、千景くん。
千景くんの手が、そっと私の肩に触れる。
その瞬間、心臓が跳ねる音が自分でも聞こえそうで—— でも、嫌じゃない。むしろ、もっと近づきたいって思う。
「いいの?全部、触っても」
その声に、思わず小さく息をのむ。
脇腹に置かれた手のぬくもりが、じんわり広がって—— ドキドキが止まらない。
ちゅっと軽いキス。
それだけでも、心臓がうるさいくらいドキドキしてるのに——
千景くんは、何度も角度を変えながら、私を求めてくる。
「んんっ…はっ…ぅん…」
千景くんにキスされると、すぐとろける。
頭の中が真っ白になって、ただ、千景くんのことしか考えられなくなる。
もっとしたい……って思ったところで、すっと離れていく唇。
「えっ…な、んでっ……?」
千景くんの言葉に、思わず息が荒くなる。
「なずなは、このキスじゃ足りないの?」
はっ、はっと呼吸が口から漏れる。
足りないの?って—— そんなの、決まってる。
「た、りない……」
声が震える。でも、ちゃんと伝えた。
足りないに決まってる。千景くんのこと、もっと感じたい。もっと、近くにいたい。
「……じゃあ、もっといちゃいちゃしよっか」
ち、千景くんの口から—— “いちゃいちゃ”って……!
その言葉だけで、胸がギュンギュンして苦しいくらい。