からかわないでよ、千景くん。



もう、なんでこんなときに……!?



「ははっ…」



千景くんはまだ笑ってる。

ほんと、千景くんのバカ! うぅ……悔しいっ……!


少しの間、鼻を抑えていると、鼻血は止まった。
そして、千景くんは笑いつかれたのか、はーっと大きく息を吐いて私の肩に体重をかけてくる。



「……あー、好き。ほんと、好き」



その言葉に、胸がギュッとなる。

一生、ネタにされるやつだって分かってるけど—— でも、好きって言ってくれるのは、素直に嬉しい。



「……わ、私も好きだよ……」



勇気を出して、ちゃんと伝えた。
そしたら、千景くんは口角を上げて聞いてくる。



「へー、どのくらい?」


「もうねっ……こーんくらいっ!」



これでもかってくらい、両手を大きく広げる。
千景くんはクスクス笑って、「大きいね〜」って楽しそう。

その笑顔に、胸がキュッとなる。
あぁ、ほんとに、だいすき。


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