からかわないでよ、千景くん。
「千景くん…」
私の声に、千景くんがスマホを触っていた手を止めて、顔を上げた。
「あれ、どうしてここにいるの?」
その声は、いつもの千景くんの声で。
でも、どこか少しだけ驚いてるようで。
(千景くんこそ、なんでこんなとこにいるの…)
屋上前のこの場所。 誰もいない静かな空間。
「ここ、誰にも見つからないから穴場だったんだけどな」
そう言って、千景くんはスマホをポケットにしまった。
「なずなに見つかっちゃったな」
クスクス笑う千景くんの顔を見て、胸がぎゅっとなった。