からかわないでよ、千景くん。
(うう…ほんとは、したくない…)
さっき転んだばかり。
膝も少し痛いし、何よりまた失敗するのが怖い。
でも——
「もうやめとく?」
笹村くんが、しゅんとした顔でそう言った。
その表情に、胸がズキッとした。
(やばい…このままだと、笹村くんにもクビにされちゃうかも…!)
志緒ちゃんに見切られたばかりなのに、また誰かに迷惑かけるなんて—— そんなの、絶対イヤだ。
「やろう…!」
私は、思わずそう言っていた。
笹村くんの顔が、ぱっと明るくなる。
(ほんとは怖いけど…でも、頑張らなきゃ)
マジックテープを受け取って、笹村くんと右足をくっつける。