からかわないでよ、千景くん。



「笹村くん、ごめん!大丈夫!?ケガしてない…!?」



焦って、声がうわずった。 体育祭前に笹村くんに怪我なんてさせたら、みんなに怒られる。


(私のせいで、そんなことになったら…!)



「俺は全然大丈夫だけど、月城は!?」



笹村くんはすぐに立ち上がって、私に手を伸ばしてくれた。


でも——


立ち上がった瞬間、左膝にズキッと痛みが走った。



「…っ…だ、大丈夫だよ〜!本当にごめんね」



痛い。ほんとに痛い。

でも、泣きたくない。泣いたら、もっと迷惑かけちゃう気がして。



(なんで石あるの〜…!?)



泣きそうになるのを、ぐっと堪えて。私は、笑顔を作った。


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