からかわないでよ、千景くん。



「2人とも保健室行ってこい」



先生の声が飛んできて、私はびくっとした。


(保健室…行くしかないよね)



「俺、大丈夫。月城さん、ほんとに大丈夫?」



笹村くんが、心配そうに顔を覗き込んでくる。

その目が、優しくて。
申し訳なさが、また胸に広がった。



「大丈夫だよ。ちょっと休憩してくるね」



そう言うと、笹村くんはふっと笑って。



「ゆっくりでいいからなー」



でも——

歩くと、ズキズキする。



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