からかわないでよ、千景くん。
「笹村は、なんでここにいるの?」
千景くんが、私の隣に座りながらそう言った。
その声は、いつも通り淡々としてるけど—— どこか、探るような響きがあった。
「ここにいたらだめなのかよ!」
笹村くんは、笑って返す。
「笹村は、なずなの足を心配して来てくれたの!」
志緒ちゃんが、すかさず千景くんにそう言った。
千景くんは「あー」と声を出して、私の膝の方を見た。
視線が、じんわりと膝に触れる。
(…見られてる)
絆創膏の上からでも、なんだか恥ずかしくて。胸が、じわっと熱くなる。