からかわないでよ、千景くん。

*

*

*


昼休み。
なんでこの気持ちになるのか、もう一度確かめたくて…私は千景くんのところへ向かった。

でも、そこに千景くんはいなかった。


(入違ったかな…?)


そう思って階段を降りて、廊下を歩いていると聞こえてきた、声。



「さっき保健室に千景くんと女子入ってったんだけど!」


「まじ?」


「しかも、手繋いでた!」



千景くんの話だった。



「千景って、パーソナルスペースの概念ないよね」


「去年、普通に距離近くてドキドキしたの思い出した。顔もいいしさー」



その言葉に、足が止まった。


(そっか。私だけじゃないんだ)


千景くんに触れられるのって、特別じゃなかった。

忘れてた。千景くんって、元からそういう人だった。


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