①「誰が、どこで、何をする」シリーズ

         ✡️
玲音はいつも無鉄砲だとクラスメイトから、持て囃されていた。

そんな自分に飽き飽きしていたが、もう変わることはないと諦めている。


本当はクラシカルな洋服でも着て、大きな舞踏会の中心で絵本から出てきた王子様と踊ってみたい。


そんな願望が彼女にあるのに、世間がそれを許さない。


クラスの立ち位置は、運動神経に恵まれているおかげか一匹狼。


そして小麦色の肌、筋肉質のボディーはお世辞にも可憐なお姫様なんてものでもない。



おまけに両親は、母親はスーパーのパート。



父親は、報告会社の冴えない眼鏡のサラリーマン。



豪華な舞踏会が開かれる、絢爛豪華な城ではなくーーーーボロアパートの団地。



夕暮れ時になると、治安の悪い小学生が暴れまわり、はしゃぐ声が聞こえる現実など目をつむってしまいたいものだ。



だがそんな現実でも、一筋の光はあった。



それは同じクラスメイトである「冷」だった。


冷はこの学園の王子様であり、絶対的王者で誰にも近寄らせない、圧倒的な芸能人オーラと近いものを纏っていた。


冴えない人間からの支持も圧倒的にあり、誰からも愛されるような完全無欠の存在。



そんな存在に思いを馳せながら、体育祭の準備中忘れ物を思い出した玲音。



急いで教室に戻っていく。



暑い日差しの中で、汗を振りまく姿を冷に見られてしまったらとヒヤヒヤしたが、そんな事を言っている暇はない。



扉を開ける。



そこに立っていたのは。



女子生徒の服装を着込んだ冷だった。



「え………冷くん?」



「な………なんでお前がいるんだ!?」



あまりの衝撃に飛び込んだその姿を凝らす。



胸ポケットに「怜音」と。



「それ………私の!?!?」



「あ………これは、その………!!!」



「さ………さようなら!!!」




あまりの恐怖に逃げ出した、怜音。



ーーー冷は女装主義者で、変態だ。



そう彼女の頭の中に、切り刻まれた。



初恋はとうに敗れて、それから暫くは人を信じられなくなったという。


                fin
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