①「誰が、どこで、何をする」シリーズ
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玲音はいつも無鉄砲だとクラスメイトから、持て囃されていた。
そんな自分に飽き飽きしていたが、もう変わることはないと諦めている。
本当はクラシカルな洋服でも着て、大きな舞踏会の中心で絵本から出てきた王子様と踊ってみたい。
そんな願望が彼女にあるのに、世間がそれを許さない。
クラスの立ち位置は、運動神経に恵まれているおかげか一匹狼。
そして小麦色の肌、筋肉質のボディーはお世辞にも可憐なお姫様なんてものでもない。
おまけに両親は、母親はスーパーのパート。
父親は、報告会社の冴えない眼鏡のサラリーマン。
豪華な舞踏会が開かれる、絢爛豪華な城ではなくーーーーボロアパートの団地。
夕暮れ時になると、治安の悪い小学生が暴れまわり、はしゃぐ声が聞こえる現実など目をつむってしまいたいものだ。
だがそんな現実でも、一筋の光はあった。
それは同じクラスメイトである「冷」だった。
冷はこの学園の王子様であり、絶対的王者で誰にも近寄らせない、圧倒的な芸能人オーラと近いものを纏っていた。
冴えない人間からの支持も圧倒的にあり、誰からも愛されるような完全無欠の存在。
そんな存在に思いを馳せながら、体育祭の準備中忘れ物を思い出した玲音。
急いで教室に戻っていく。
暑い日差しの中で、汗を振りまく姿を冷に見られてしまったらとヒヤヒヤしたが、そんな事を言っている暇はない。
扉を開ける。
そこに立っていたのは。
女子生徒の服装を着込んだ冷だった。
「え………冷くん?」
「な………なんでお前がいるんだ!?」
あまりの衝撃に飛び込んだその姿を凝らす。
胸ポケットに「怜音」と。
「それ………私の!?!?」
「あ………これは、その………!!!」
「さ………さようなら!!!」
あまりの恐怖に逃げ出した、怜音。
ーーー冷は女装主義者で、変態だ。
そう彼女の頭の中に、切り刻まれた。
初恋はとうに敗れて、それから暫くは人を信じられなくなったという。
fin
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