エリート官僚と偽りの婚約 ~魔法が解けるまで、あなたと仮初の恋をします~
私は、スマホを拾い上げて図書館を出た。並木が綺麗な構内道路を歩いて、大学を出て街に出た。
昨日までは、私が歩くこの道は、私が帰るための道だった。でも、今はもう帰路と言っていいのかわからない。あのマンションはもう、私が帰るための場所じゃないのかもしれない。
かつん、とパンプスのヒールが鳴った。ありきたりなパンプスでも、自分の物語を歩いていけると思っていた。
でもやっぱり、運命からは逃れられないのかもしれない。新しいお母さんとお姉ちゃんを迎えて、お父さんを亡くした。それなのに魔法使いに出会えなかった私はやっぱり、なりそこないのシンデレラなのかもしれない。
見慣れた街を、見慣れない場所まで彷徨い歩いた。
ああ、ここはどこだろう。
ふと、周囲に視線を向けた。私は石畳風に舗装された歩道にいて、道路と反対側の右手には瀟洒な路面店が並んでいる。知らないお店のショーウィンドウに、私がぼんやりと映っている。
仕事用のダークグレーのジャケットと仕事用のタイトスカートを着た私。髪は後ろでひとつ結び。何もかもがありきたりで、お姉ちゃんとは全然違う。
華やかな色をまとって、華やかな運命を歩くお姉ちゃんこそ、本当のお姫様だった。
また、鐘の音が聞こえるのかもしれない。そんなことを考えて、知らない街を見上げたところで、つま先が何かに躓いた。
昨日までは、私が歩くこの道は、私が帰るための道だった。でも、今はもう帰路と言っていいのかわからない。あのマンションはもう、私が帰るための場所じゃないのかもしれない。
かつん、とパンプスのヒールが鳴った。ありきたりなパンプスでも、自分の物語を歩いていけると思っていた。
でもやっぱり、運命からは逃れられないのかもしれない。新しいお母さんとお姉ちゃんを迎えて、お父さんを亡くした。それなのに魔法使いに出会えなかった私はやっぱり、なりそこないのシンデレラなのかもしれない。
見慣れた街を、見慣れない場所まで彷徨い歩いた。
ああ、ここはどこだろう。
ふと、周囲に視線を向けた。私は石畳風に舗装された歩道にいて、道路と反対側の右手には瀟洒な路面店が並んでいる。知らないお店のショーウィンドウに、私がぼんやりと映っている。
仕事用のダークグレーのジャケットと仕事用のタイトスカートを着た私。髪は後ろでひとつ結び。何もかもがありきたりで、お姉ちゃんとは全然違う。
華やかな色をまとって、華やかな運命を歩くお姉ちゃんこそ、本当のお姫様だった。
また、鐘の音が聞こえるのかもしれない。そんなことを考えて、知らない街を見上げたところで、つま先が何かに躓いた。