エリート官僚と偽りの婚約 ~魔法が解けるまで、あなたと仮初の恋をします~
 髪型と、メイクを整えたから、もう泣かない。

 一度マンションに戻った私は、もう一度街に出た。夜に染まりかけた街を歩いて、虎ノ門のビルまで来た。商業エリアの一角、洗練された佇まいのレディースブランド。そこへ靴先を踏み入れた私の髪で、青い薔薇がきらめいているはずだ。

 私はお店のスタッフさんに声をかけた。そうして、

「このヘアピンに似合う服と靴が欲しいんです」

 余裕たっぷりに見えるように微笑んだ。
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