エリート官僚と偽りの婚約 ~魔法が解けるまで、あなたと仮初の恋をします~
芙美子さんとお姉ちゃんは、「ごめんなさい」と私に言った。そうして、家の権利書と売買契約書を書留で送ると約束してくれた。
正俊さんと私は、ホテルを後にした。夜色の街を歩きながら、どちらからともなく手を繋いだ。
「ごめん。不安にさせたよね」
正俊さんは最初にそう言った。お姉ちゃんと一緒にいたこと、電話の内容。不安にならなかったと言ったら嘘になる。――でも。
「信じていました」
足を止めて、正俊さんの目を見てそう言った。
あなたと過ごした日々が優しかったから、私は、あなたの愛が本当だと信じられた。
正俊さんは、面食らったような顔をした。そして、眩しいものを見つめるように少しだけ目を細めた。
繋いでいた手の、指先と指先が深く絡まる。
「あんまり、ああいうところを見られたくなくて」
ああいうところ? と首を傾げると、正俊さんが気まずそうな顔で続ける。
「さっきの俺、怖かっただろうから」
芙美子さんとお姉ちゃんを追い詰める間合い。不敵な微笑み。
「……ちょっとだけ、神楽坂さんみたいでした」
「えっ」
正俊さんがショックを受けた顔をする。
「さすがに、神楽坂ほど悪どい話し方はしてないと思ってたんだけど……」
「そうなんですね?」
疑問形で返したら、正俊さんはさらにショックを受けた顔をした。だけどすぐに、はたと気づいた顔をして私を見る。
「神楽坂に、何か言われた?」
私を案じる眼差しに対して、安心してもらえるように笑う。
「大丈夫です。分かり合いました」
「……神楽坂と?」
「はい!」
元気よく頷いたら、正俊さんが目を丸くする。そうして、「真理菜さんにはやっぱり敵わないな」と言って、彼は笑った。
私たちはきらめく夜景を歩いて、私たちが暮らすマンションへ戻った。
正俊さんと私は、ホテルを後にした。夜色の街を歩きながら、どちらからともなく手を繋いだ。
「ごめん。不安にさせたよね」
正俊さんは最初にそう言った。お姉ちゃんと一緒にいたこと、電話の内容。不安にならなかったと言ったら嘘になる。――でも。
「信じていました」
足を止めて、正俊さんの目を見てそう言った。
あなたと過ごした日々が優しかったから、私は、あなたの愛が本当だと信じられた。
正俊さんは、面食らったような顔をした。そして、眩しいものを見つめるように少しだけ目を細めた。
繋いでいた手の、指先と指先が深く絡まる。
「あんまり、ああいうところを見られたくなくて」
ああいうところ? と首を傾げると、正俊さんが気まずそうな顔で続ける。
「さっきの俺、怖かっただろうから」
芙美子さんとお姉ちゃんを追い詰める間合い。不敵な微笑み。
「……ちょっとだけ、神楽坂さんみたいでした」
「えっ」
正俊さんがショックを受けた顔をする。
「さすがに、神楽坂ほど悪どい話し方はしてないと思ってたんだけど……」
「そうなんですね?」
疑問形で返したら、正俊さんはさらにショックを受けた顔をした。だけどすぐに、はたと気づいた顔をして私を見る。
「神楽坂に、何か言われた?」
私を案じる眼差しに対して、安心してもらえるように笑う。
「大丈夫です。分かり合いました」
「……神楽坂と?」
「はい!」
元気よく頷いたら、正俊さんが目を丸くする。そうして、「真理菜さんにはやっぱり敵わないな」と言って、彼は笑った。
私たちはきらめく夜景を歩いて、私たちが暮らすマンションへ戻った。