なりそこないのシンデレラ ~エリート官僚と偽りの婚約!?~
寝室を使わせてもらいますねと私に断ってから、結城さんは服を着替えにいった。そのあいだに、前髪を撫でつけたり、目についた袖の毛玉を取ったりしてみるものの、気の抜けた格好であることには変わりない。
着替えを終えて寝室から出てきた結城さんが、上質そうな生地のスウェット姿だったから、余計にいたたまれなくなる。それでも、
「……ごめんなさい。私、こんなだらしない格好で」
私が眉を下げると、結城さんはまったく気にならないという顔で言った。
「どうして? 家にいるんだから普通ですよ」
俺も気を抜いてます――そう言って、気軽な口調で笑った結城さんの一人称が変わったことに気づく。
これまで私と話すときは、ずっと「僕」だったのに。
そんな些細な変化で、私の心はふと軽やかになる。結城さんも気を抜いているなら、いいのかも――なんて。
無造作な仕草で前髪をかきあげた結城さんが、不意にキッチンへと眼差しを向ける。
「良い香りですね」
「あ、……ええと、」
適当に作ったもので恥ずかしいんですけど――そんなことを続けようとして、でも、それはひどく卑屈な態度だと気づいて止めた。
だって、結城さんは絶対に、私が作った料理を「恥ずかしい」なんて思わない。
だから、思い切って、
「オープンオムレツ風の、その……料理です。ちゃんとした料理名はないんですけど……でも、よかったら一緒にいかがですか?」
結城さんを誘ってみた。
結城さんは、とても嬉しそうに笑ってくれた。
「ぜひ、いただきたいです」
結城さんの面差しを見つめながら、とくん、と響く心音を感じた。
温みを宿したその響きは、私の心の温度を上げた。
着替えを終えて寝室から出てきた結城さんが、上質そうな生地のスウェット姿だったから、余計にいたたまれなくなる。それでも、
「……ごめんなさい。私、こんなだらしない格好で」
私が眉を下げると、結城さんはまったく気にならないという顔で言った。
「どうして? 家にいるんだから普通ですよ」
俺も気を抜いてます――そう言って、気軽な口調で笑った結城さんの一人称が変わったことに気づく。
これまで私と話すときは、ずっと「僕」だったのに。
そんな些細な変化で、私の心はふと軽やかになる。結城さんも気を抜いているなら、いいのかも――なんて。
無造作な仕草で前髪をかきあげた結城さんが、不意にキッチンへと眼差しを向ける。
「良い香りですね」
「あ、……ええと、」
適当に作ったもので恥ずかしいんですけど――そんなことを続けようとして、でも、それはひどく卑屈な態度だと気づいて止めた。
だって、結城さんは絶対に、私が作った料理を「恥ずかしい」なんて思わない。
だから、思い切って、
「オープンオムレツ風の、その……料理です。ちゃんとした料理名はないんですけど……でも、よかったら一緒にいかがですか?」
結城さんを誘ってみた。
結城さんは、とても嬉しそうに笑ってくれた。
「ぜひ、いただきたいです」
結城さんの面差しを見つめながら、とくん、と響く心音を感じた。
温みを宿したその響きは、私の心の温度を上げた。