エリート官僚と偽りの婚約 ~魔法が解けるまで、あなたと仮初の恋をします~
「結城先輩」

 小走りで現れたのは、爽やかなミントグリーンのドレスを着た女性。私と同じくらいか、少し年上に見える可愛らしいひと。

 彼女は柔らかな笑顔で正俊さんを見上げる。

「来てくださったんですね! 嬉しい……!」

「こちらこそ、お招きいただき光栄です。誕生日おめでとう、篠宮(しのみや)さん」

「ありがとうございます」

 嬉しそうに笑った彼女は、柔らかな表情のまま私を見る。

「初めまして。篠宮紗良(さら)と申します」

「広瀬真理菜です。初めまして。……その、お誕生日おめでとうございます」

「真理菜さん」

 私を下の名前で呼んだ彼女――紗良さんは、丁寧だけれど打ち解けた声で言った。

「来てくださって、ありがとう。堅苦しいパーティーじゃないから、ゆっくりしていってね」

 紗良さんの、くるんとした睫毛とアイシャドウがきらめく瞼が綺麗だと思った。
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