エリート官僚と偽りの婚約 ~魔法が解けるまで、あなたと仮初の恋をします~
 私を抱きしめたこと。彼に抱きしめられたこと。
 それについて、正俊さんも私も言及しなかった。だって、そういう意味で抱きしめられたわけじゃない。私は私にそう言い聞かせた。

 正俊さんは何を思っているのか――それを聞きたくないと言ったら嘘なのに、結局聞くことはできなかった。

 彼にとって、私との日々が痛みと後ろめたさだとしても。
 私が彼に救われたように、私も彼の力になれたらいいと思う。

 そう願いながら、日々を過ごした。

 そうして、月に一度の図書館休館日がやってきた。
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