私なんかが神様のお嫁さんになりました
「あらぁ、あなたは確か白龍神様のお屋敷にいた女性よね。」
突然、杏は話し掛けられて驚きながら声の方を見た。
なんと、声を掛けて来たのは豊穣姫だった。
豊穣姫は後ろに3人の女性を従えて近づいていたのだ。
「豊穣姫様…先日は…」
杏が何か挨拶をしようとした時、遮るように豊穣姫は言葉を続けた。
「私は白龍神様の許婚を諦めていないし、あなたより白龍神様にお似合いなのは私なのよ!よくも天の国までずうずうしく来られたわね…卑しい身分のくせに。」
豊穣姫が嫌味を言うと、後ろに控えていた女性達もクスクスと笑いながら杏を見た。
「まぁ、サルが龍神様の柄の着物を着ているなんて…なんて恥知らずなの。」
「髪にも素敵な鱗のような髪飾りなんて、あんたには似合わないのよ!」
女性の一人は杏の神に飾られていた髪飾りを無理やり奪い取ると、わざと下に落として踏みつけたのだった。
「あらぁ、うっかり落としてしまったわ…ゴメンナサイねぇ…」
豊穣姫たちはクスクスと笑いながらその場を離れて行った。
杏は踏まれて割れてしまった髪飾りを両手で拾った。
白様とお母様に頂いた髪飾りを壊され、杏は涙を浮かべた。
「白様…お母様…ごめんなさい…。」
すると拾った髪飾りがホワッと光りながらなぜか温かくなってきたのだ。
杏は驚き思わず髪飾りに話し掛けていた。
「髪飾りさん…私のせいでごめんなさい。…でもなぜ光っているの?」