私なんかが神様のお嫁さんになりました
翌日も杏は神社の掃除をし、いつもの通り神様への御祈りと歌を捧げた。
すると神社の奥から何か強い光が差し込んだ。
杏がその光を見るとすぐに光は消えてしまった。
「気のせいだったかしら。」
杏は最後に手を合わせて神様に願いを伝えた。
「神様、私なんかが生贄ではご不満かも知れませんが、どうかこの命に代えてこの村を救ってください。」
すると神社の奥からもう一度強い光が差し込んだ。
「もしかしたら、神様にこの言葉が届いたのかも知れないわ。」
杏は深々と一礼すると神社を後にした。
それから一週間後。
とうとう今日は杏が神様の生贄となる日だった。
言い伝えの通り、婚礼用の白無垢に着替えた杏。
この衣装は村の人が以前に着たお古だが綺麗に保管されていたものだ。
鶴の刺繍がとても美しい着物だった。
白無垢に着替えた杏の髪を結いあげながら、お多恵は前が見えないほどに涙を溢れさせていた。
「杏、本当に綺麗だよ…お前さんの本当のお母さんに見せてやりたかったねぇ。」