忘れたはずの恋心に、もう一度だけ火が灯る ~元カレとの答え合わせは、終電後の豪雨の中で~
「さて、」
圭吾のいる部屋を見るも、未だに出てくる気配はない。顔を合わせないように避けられているのを、嫌でも察してしまう。
コンコンコン
「圭吾、眠たくなってきたから先に寝させてもらっていい?」
「もちろん。喉が渇いたり腹が減ったりしたら、好きに飲み食いしてくれて構わないから」
「ありがとう。おやすみ」
「おやすみ」
やはり部屋から出てくる様子はない。扉越しに会話を終え、大人しく教えてもらった部屋に入る。
そこはベッドとサイドチェストが設置されている寝室だった。雰囲気からも、来客用の部屋ではないのは明らかだ。
圭吾は今いる部屋で寝るとは言っていたが、1人暮らしの男性が2台もベッドを持っているなんて考えにくい。それに最近引っ越したと聞いた。わざわざ持ってくるわけがない。
(……こんなに気を遣ってくれるのに)
私は自覚するほど諦めが悪い。それに、
(多分、今日を逃したら、もう二度と会えない気がする)
根拠はない。でも、確証はある。もう二度と会えなくなるなんて、そんなの嫌だ。
窓の外は酷く荒れている。雨は未だに止まないし、私がここに居る理由としては十分だ。
窓ガラスに反射する自分の顔を見たくなくて、薄く開いたカーテンをしっかり閉めた。