忘れたはずの恋心に、もう一度だけ火が灯る ~元カレとの答え合わせは、終電後の豪雨の中で~
ガンガンと痛む頭に、重たい瞼。鏡を確認すると、そこそこ酷い顔をした自分が映った。
お酒を飲んで、雨に打たれて、夜更かしして、泣いて…。
こんな顔で済んだだけ御の字か。寝起きを繕う化粧をするわけでもなく、そのままの私でリビングに通じる扉を開けた。途端にコーヒーのいい匂いがする。
「おはよう、由衣。よく寝れたか?」
「…うん。おはよう、圭吾」
懐かしいやり取り。何となく涙腺が緩んだ時、圭吾が近づく足音が聞こえた。
「由衣」
「…なあに?」
彼は昨日のやり取りを本当に無かったことにできる。結局、最後の重要な部分は圭吾に投げてしまった。私の弱さに今更ながら嫌気がさす。
「そんなに緊張しないでよ」
耐えきれないとでも言うように朗らかに笑いながら、圭吾は口を開いた。
「由衣、やり直そう。俺と、もう一度付き合ってください」
すっかり雨が上がった土曜日の正午。
昨日の夜の豪雨と逃してしまった終電に感謝して、涙ながらに彼の言葉に頷いた。
外はすっかり晴れ、雲1つ無い晴天だった。


