忘れたはずの恋心に、もう一度だけ火が灯る ~元カレとの答え合わせは、終電後の豪雨の中で~
「由衣…」
勝手な言動で、散々圭吾に迷惑をかけた。それに当時は何も知らなかったとはいえ、あの時の私の勝手な選択でここまで圭吾を傷つけてしまったことには変わりない。
「だとしても、本当にごめんなさい。別れる提案の前に、1回話し合うべきだった」
「…由衣は、俺のことどう思ってるんだ?」
「好きだよ。ずっと好き」
「………意外」
「何が?」
「…別れた瞬間吹っ切れる女性が多いって聞いてたから、てっきり俺のこと好きなのは過去の話だと思ってた」
その言葉に今度は私が固まってしまう。
「はい?じゃあ、私が今泣いてるのは何だって言うのよ」
「え、泣いてるのか!?」
「……見えてないの?」
「寝るつもりだったからコンタクト取ったし、部屋も暗いから…どの辺にいるのかは何となく分かるけど」
なんともまあ…。いいや。みなまで言わなくていい。これぐらいの感じが、私たちにはちょうどいいに違いない。
「「やり直そう」」
ハモった声に、思わず顔を見合わせる。それから笑う。
「同じこと考えてたんだな」
「ね。本当に似た者同士だ」
ソファーの上で向かい合うという、なんとも不思議な体勢。どちらともなくキスを交わした。
「でも、雨が止めば全部なかったことになるんでしょ?」
「あ、っと、、それって継続か?」
意地悪く約束をぶり返すと、圭吾は困ったように頭を掻いた。でも、私もそこまで鬼じゃない。
「明日、待ってるから。今度こそ、愛のある言葉を期待してるね」
圭吾が気にしていた、かつての告白。それをやり直すことのできる機会だ。
彼も何を言いたいのか察したようで、何度も頷いた。