忘れたはずの恋心に、もう一度だけ火が灯る ~元カレとの答え合わせは、終電後の豪雨の中で~
「ほんと、久しぶりだね。顔を合わせたのは…半年振りぐらい?」
「あの時が最後だからそれぐらいだな」
「ほぼ毎日連絡はとってるけどね」
笑いながら2杯目のビールを煽る。
結局、友人に戻ったとて距離感は何も変わらない。縮まることもなければ、遠ざかることもない。それでいい。安心する。
「だとしても、会うとなったらやっぱり緊張したわ~」
天井を仰ぎながら呟く圭吾に驚いてしまう。
「え、そんな風に見えなかったけど」
「いやいやいや!どれだけ震えてたと思ってんだよ」
「大柄な男がよく言うよ」
「メンタルはシャボン玉だから」
「屋根まで飛んでいきそう」
テンポの良い会話にまた笑う。圭吾も笑いながらつまみに手を伸ばした。
「あと、由衣が来ない可能性もあったじゃん」
「どういうこと?」
「バックレ。そんなことしないって分かってるけど、俺から誘った手前、バックレられても何も言えないなとは思ってたんだよ」
「ひっど。私、そんな奴だと思われてるの?」
「だってちょうど残業入ったらしいし、『あー、これは残業を理由にバックレるやつだ』とは思った」
たしかに、言い訳としてはもっともだろう。それに、仕事を人質に取られては圭吾としても何も言えなかったのだと思う。
でも、