忘れたはずの恋心に、もう一度だけ火が灯る ~元カレとの答え合わせは、終電後の豪雨の中で~
居酒屋の勢いよく扉を開けた瞬間、固まってしまった。
横殴りの豪雨に、傘も差さずに走っている多くの人。
小さな台風よりもよっぽど酷い大雨に、一瞬終電がなくなりかけていることも忘れてしまった。
外は、数時間前とは全く異なる景色を見せている。
(と、とりあえず今後の天気を調べないと…最悪電車が止まったら、)
スマホを立ち上げた時、ピコンと新着で通知が入った。
≪00時06分に○○駅で人身事故が発生しました≫
「……はい?」
思わず頓狂な声を上げてしまう。あまりにも不運。そもそも今日の天気予報が晴れだったはずだ。
でも、現実は豪雨。それに加えて人身事故。八方ふさがりもいいところだ。
「まだいたのか。って、お~…これまた、終末世界みたいな景色だな」
「豪雨に加えて、人身事故まで起きたらしいの。しかもたった今」
「まじか。とんでもないな」
会計を終えたらしい圭吾が後ろから外を覗く。雨はどんどん強まり、音もどんどん大きくなる。
近くのホテルを調べるもアクセス集中。サイトに入れたとしても、全室満室の表示ばかりだ。
今日は花の金曜日。
近場のホテルに泊まって明日帰ればいいや、という発想は皆同じらしい。
「ホテルもタクシーも予約殺到。いつからこんな雨が降ってるか分からないけど、完全に出遅れたな」
どうやら、圭吾も調べてくれているらしい。スマホを素早く操作してくれているが、その指が止まることはない。私も懸命に調べるも、サイトに入っては出ての繰り返し。
しばらくすれば、自然と諦めがついた。