十年越しの初恋は、永遠の誓いへ
第四十三章 主人公の心が折れる
「……俺には、やはり資格がない」
蓮の言葉は、冷たい刃のように胸に突き刺さった。
何度も繰り返されるその一言に、もう反論する力さえ残っていなかった。
「どうして……」
掠れた声が零れる。
「どうして、信じてくれないんですか……」
答えは返ってこない。
沈黙が、残酷なほど重たかった。
その夜。
帰り道の交差点で、私は歩道に立ち尽くしていた。
街灯の下、足が震えて一歩も進めない。
十年前。
泣きながら彼を見送ったあの日と同じ――置き去りにされる痛みが、全身を支配していた。
「もう、耐えられない……」
小さな呟きが夜に溶けた。
そんな私の肩に、傘がそっと差し出された。
「探したよ」
佐伯の声だった。
振り向くと、彼の瞳は真剣そのもの。
「泣いてる君を見るのは、もう限界なんだ」
堪えていた涙が一気に溢れた。
「佐伯さん……私、もう……どうしていいかわからないんです」
彼は一歩近づき、震える私を抱き寄せた。
「わからなくていい。今はただ、俺に甘えればいい」
温かな声と腕の中。
その優しさが、崩れかけた心を必死で繋ぎとめる。
けれど――。
その瞬間にも心の奥には、蓮の姿が焼きついたままだった。
翌朝。
鏡に映る自分は、どこか別人のように虚ろだった。
「もう、信じるのをやめた方が楽かもしれない」
そんな思いが頭をよぎる。
――けれど、心は彼を求めてしまう。
矛盾に押し潰されそうになりながら、私は静かに目を伏せた。
こうして、蓮の冷たい拒絶と元婚約者の挑発に追い詰められた私は――ついに心を折ってしまった。
蓮の言葉は、冷たい刃のように胸に突き刺さった。
何度も繰り返されるその一言に、もう反論する力さえ残っていなかった。
「どうして……」
掠れた声が零れる。
「どうして、信じてくれないんですか……」
答えは返ってこない。
沈黙が、残酷なほど重たかった。
その夜。
帰り道の交差点で、私は歩道に立ち尽くしていた。
街灯の下、足が震えて一歩も進めない。
十年前。
泣きながら彼を見送ったあの日と同じ――置き去りにされる痛みが、全身を支配していた。
「もう、耐えられない……」
小さな呟きが夜に溶けた。
そんな私の肩に、傘がそっと差し出された。
「探したよ」
佐伯の声だった。
振り向くと、彼の瞳は真剣そのもの。
「泣いてる君を見るのは、もう限界なんだ」
堪えていた涙が一気に溢れた。
「佐伯さん……私、もう……どうしていいかわからないんです」
彼は一歩近づき、震える私を抱き寄せた。
「わからなくていい。今はただ、俺に甘えればいい」
温かな声と腕の中。
その優しさが、崩れかけた心を必死で繋ぎとめる。
けれど――。
その瞬間にも心の奥には、蓮の姿が焼きついたままだった。
翌朝。
鏡に映る自分は、どこか別人のように虚ろだった。
「もう、信じるのをやめた方が楽かもしれない」
そんな思いが頭をよぎる。
――けれど、心は彼を求めてしまう。
矛盾に押し潰されそうになりながら、私は静かに目を伏せた。
こうして、蓮の冷たい拒絶と元婚約者の挑発に追い詰められた私は――ついに心を折ってしまった。