十年越しの初恋は、永遠の誓いへ
第四十五章 十年前の真実
「……紗良」
名前を呼ぶ蓮の声は、切なく震えていた。
廊下の静けさの中で、彼の瞳が深い影を宿す。
「ずっと言えなかったことがある」
その一言に、心臓が大きく跳ねた。
「十年前……お前を泣かせて置き去りにしたのは、俺の意志じゃなかった」
低く苦い声が響く。
「俺は……家の意向で、婚約者を選ばされていた。
抗えば、お前の家も巻き込まれる。それがわかっていたから……何も言えなかった」
「そんな……」
足が震え、視界が滲む。
「お前を守るために、あえて突き放した」
蓮の拳が震えていた。
「好きだからこそ、傍にいられなかった。……それが俺の罪だ」
胸が痛い。
「どうして……どうして一言でも教えてくれなかったんですか」
声が涙でかすれる。
「私はずっと誤解したまま……あなたに拒絶されたと思って……」
蓮は苦しげに目を伏せた。
「臆病だったんだ。お前を巻き込むくらいなら、嫌われた方がいいと……そう思っていた」
「違います……嫌うなんてできなかった。
あのときからずっと……私はあなたが好きで、忘れられなくて……」
涙が頬を伝う。
それを見た蓮の瞳が、切なげに揺れた。
「……もう遅いかもしれない」
蓮が低く呟く。
「資格がないのは、その過去のせいだ。
お前を守れなかった俺に、もう一度お前を愛する資格なんて……」
「遅くなんてありません!」
思わず叫んでいた。
「十年待ってたんです。
あなたの言葉を、想いを……信じられる日を」
沈黙が落ちる。
蓮は苦しげに顔を歪め、それでもようやく一歩、私に近づいた。
「……紗良」
その声に込められた熱が、胸を強く震わせた。
――十年前の真実。
ようやく語られた想いは、涙と共に二人の心を再び結びつけていった。
名前を呼ぶ蓮の声は、切なく震えていた。
廊下の静けさの中で、彼の瞳が深い影を宿す。
「ずっと言えなかったことがある」
その一言に、心臓が大きく跳ねた。
「十年前……お前を泣かせて置き去りにしたのは、俺の意志じゃなかった」
低く苦い声が響く。
「俺は……家の意向で、婚約者を選ばされていた。
抗えば、お前の家も巻き込まれる。それがわかっていたから……何も言えなかった」
「そんな……」
足が震え、視界が滲む。
「お前を守るために、あえて突き放した」
蓮の拳が震えていた。
「好きだからこそ、傍にいられなかった。……それが俺の罪だ」
胸が痛い。
「どうして……どうして一言でも教えてくれなかったんですか」
声が涙でかすれる。
「私はずっと誤解したまま……あなたに拒絶されたと思って……」
蓮は苦しげに目を伏せた。
「臆病だったんだ。お前を巻き込むくらいなら、嫌われた方がいいと……そう思っていた」
「違います……嫌うなんてできなかった。
あのときからずっと……私はあなたが好きで、忘れられなくて……」
涙が頬を伝う。
それを見た蓮の瞳が、切なげに揺れた。
「……もう遅いかもしれない」
蓮が低く呟く。
「資格がないのは、その過去のせいだ。
お前を守れなかった俺に、もう一度お前を愛する資格なんて……」
「遅くなんてありません!」
思わず叫んでいた。
「十年待ってたんです。
あなたの言葉を、想いを……信じられる日を」
沈黙が落ちる。
蓮は苦しげに顔を歪め、それでもようやく一歩、私に近づいた。
「……紗良」
その声に込められた熱が、胸を強く震わせた。
――十年前の真実。
ようやく語られた想いは、涙と共に二人の心を再び結びつけていった。