十年越しの初恋は、永遠の誓いへ
第四十七章 交錯する想い
その日、遅くまで残業していた私は、会議室から出た瞬間、二つの視線に同時に捕らえられた。
片方は、いつも優しく私を支えてくれる佐伯。
もう片方は、十年前からずっと心を縛り続ける蓮。
――避けられない。
空気が張り詰め、胸が高鳴った。
「西園寺さん、帰ろう」
佐伯が声をかけてくれる。
差し出された手は、あまりにも温かそうで、涙が出そうになる。
だが、その手を取る前に蓮が口を開いた。
「……彼女を送るのは、俺だ」
低く強い声。
その言葉に空気が震えた。
「部長、それは……」
私が慌てて声を出そうとするより早く、佐伯が前に立つ。
「部長。彼女を突き放したのは、あなたじゃないですか」
その真っ直ぐな眼差しに、蓮の瞳が鋭く光った。
「俺は……彼女を守れなかった。それが罪だ」
「違います。守れなかったんじゃない。言葉を尽くさなかっただけです」
佐伯の声は静かだが、揺るぎなかった。
「俺は、彼女を泣かせたくない。……それだけです」
佐伯が私を見つめて言う。
その視線は、どこまでも誠実で、心に沁みた。
「……お前に何がわかる」
蓮の低い声が響く。
「俺は、十年前から――」
言葉を切った蓮の拳が震えている。
「……彼女を想い続けてきたんだ」
その一言で、心臓が大きく跳ねた。
――想い続けていた。
佐伯は一瞬驚いたように目を見開き、そして苦しげに笑った。
「……やっと言えたんですね」
二人の想いが、私の目の前で交錯する。
十年越しの不器用な愛と、今そばで支えてくれる優しさ。
どちらも本物だからこそ、胸が裂けるほど苦しかった。
「……やめてください」
震える声で二人の間に割って入る。
「私は……私の気持ちを、ちゃんと選びます」
涙で滲む視界の中で、二人の瞳が私を見つめていた。
――交錯する想い。
ここから逃げずに、答えを出さなければならない。
片方は、いつも優しく私を支えてくれる佐伯。
もう片方は、十年前からずっと心を縛り続ける蓮。
――避けられない。
空気が張り詰め、胸が高鳴った。
「西園寺さん、帰ろう」
佐伯が声をかけてくれる。
差し出された手は、あまりにも温かそうで、涙が出そうになる。
だが、その手を取る前に蓮が口を開いた。
「……彼女を送るのは、俺だ」
低く強い声。
その言葉に空気が震えた。
「部長、それは……」
私が慌てて声を出そうとするより早く、佐伯が前に立つ。
「部長。彼女を突き放したのは、あなたじゃないですか」
その真っ直ぐな眼差しに、蓮の瞳が鋭く光った。
「俺は……彼女を守れなかった。それが罪だ」
「違います。守れなかったんじゃない。言葉を尽くさなかっただけです」
佐伯の声は静かだが、揺るぎなかった。
「俺は、彼女を泣かせたくない。……それだけです」
佐伯が私を見つめて言う。
その視線は、どこまでも誠実で、心に沁みた。
「……お前に何がわかる」
蓮の低い声が響く。
「俺は、十年前から――」
言葉を切った蓮の拳が震えている。
「……彼女を想い続けてきたんだ」
その一言で、心臓が大きく跳ねた。
――想い続けていた。
佐伯は一瞬驚いたように目を見開き、そして苦しげに笑った。
「……やっと言えたんですね」
二人の想いが、私の目の前で交錯する。
十年越しの不器用な愛と、今そばで支えてくれる優しさ。
どちらも本物だからこそ、胸が裂けるほど苦しかった。
「……やめてください」
震える声で二人の間に割って入る。
「私は……私の気持ちを、ちゃんと選びます」
涙で滲む視界の中で、二人の瞳が私を見つめていた。
――交錯する想い。
ここから逃げずに、答えを出さなければならない。