推理×LOVE=?
その日の放課後、私は暁先生に呼び出された。
「白川さん、ちょっと授業のことで話したいことがあるんだ。職員室の隣の空き教室に来てくれるかな?」
先生の声は、いつもより少しだけ低く、どこか緊迫した響きがあった。
私は不安を感じながらも、先生の言葉に従って、人気のない空き教室へと向かった。
教室に入ると、先生が立っていた。
夕日に照らされた先生の横顔は、いつもと変わらず美しかったけれど、その瞳の奥に、私は今まで見たことのない暗い感情を見た気がした。
「先生、、?」
先生はゆっくりと私に近づいてきた。
「花蓮、、君は本当に僕の母親に似ているな。」
先生の言葉は、私の頭を混乱させた。
母?先生の母?何のことを言っているのだろう。
「先生、どういう...」
私が言葉を遮ろうとした瞬間、先生は私の体を強く抱きしめた。
その腕は、まるで檻のように私を閉じ込める。
「きゃっ!、、先生、苦しいです...離してください!」
私は必死にもがいたが、先生の力は強く、逃れることができなかった。
恐怖で体が震え、涙が溢れそうになった。
その時、突然、教室のドアが開いた。
「花蓮っ…!」
そこにいたのは、碧だった。
彼は、私と先生の異様な状況を見て、すぐに駆け寄ってきた。
「花蓮っ、大丈夫か?」
碧は、先生から私を無理やり引き剥がした。
そして、先生に向かって鋭い視線を向けた。
「暁先生、一体何をされているんですか?」
「神崎君...君がなぜここに...」
「花蓮から手を離してください。そして、この事件の真相について、説明していただきたい。」
碧の声には、強い決意が込められていた。
先生は、碧の言葉に一瞬驚いた表情を見せたが、すぐに冷静さを取り戻した。
そして、ゆっくりと語り始めた。
その言葉は、私の耳には現実とは思えないほど、衝撃的なものだった。
先生が、この一連の盗難事件の犯人であり、私に異様に執着していたこと。
そして、母親との過去の出来事が、彼を歪ませてしまったこと。
碧は、先生の話を黙って聞いていたが、やがて、決定的な証拠を突きつけた。
「先生、これはあなたの仕業ではないんですか?」
碧が示したのは、盗まれた化粧ポーチに付着していた、微細な服の繊維だった。
それは、先生がいつも身につけているスーツの素材と一致していたのだ。
先生は、その証拠を前に、絶望したような表情を浮かべた。
「...降参だ」
その言葉とともに、職員室から警察官たちが駆け込んできた。
先生は、あっけなく逮捕された。
私は、目の前で繰り広げられた事実に、ただ立ち尽くすしかなかった。
暁先生が、私の憧れの先生が、こんな事件を起こしていたなんて。
信じられない気持ちと、ショックで、何も考えられなかった。