この歪んだ愛、いっさい油断なりません。

11話 わたしだけが知ってる




◯学校・放課後
2週間ほど、結都を避けて生活してる鈴音。家では極力最低限の会話のみ。結都もなんとなく鈴音に避けられてるのがわかってる感じ。
鈴音の学校は文化祭シーズンに突入。文化祭の準備に向けて放課後は居残りだったり、バイトだったり忙しい。結都も撮影で家を空けることが多くてすれ違い。
少しずつ結都と距離を置きながら、結都への気持ちを消したいと思う鈴音。
なごみと梨々花と文化祭の買い出しへ。買い物が終わると梨々花がコスメを見たいということで、コスメのフロアへ。
梨々花「あっ、新作のリップ発売してるぅ! かわいい~」
なごみ「リップとかいくつあっても欲しくなるよねー」
梨々花「わかる! 新作出るたびに買っちゃう!」
リップを見てると店員が話しかけてくる。梨々花が興味を示したリップはユイとのコラボ商品だった。ユイが好きな子につけてほしいリップがテーマでコラボしてた。
全3色展開で、とくにユイが推してる色はほんのり色づく桜色。
鈴音(そういえば……)


◯回想
少し前、結都が鈴音がメイクしてるのを見ていたときがあった。そこで鈴音に似合う色の話をしていた。
結都『鈴音って普段どんなリップ使ってんの?』
鈴音『うーん、コーラル系とか? 真っ赤なのは大人っぽすぎて似合わないかなって』
結都『へぇ……』
鈴音の顎をクイッとつかんで、唇をじーっと見てる結都。
結都『桜っぽい色とか似合いそう』
鈴音『え?』
結都『ほんのり色づいてんのが鈴音に似合う気がするけどね』
このときはなんでいきなりそんなこと言ってきたのか理解できていなかった鈴音。


◯回想から戻る
好きな子にも、このリップを塗ったときに自分を思い出してほしいと思って制作に携わったことを店員から聞く鈴音。
鈴音(なにそれ……そんなのずるいよ)結都の想いを知ったのと、自分だけが知ってる……結都が誰を思い浮かべて作ったのか。
リップを見つめながら、切ない表情をしてる鈴音。結都への気持ちが消えるどころか、膨らんでいくのにどうしたらいいのか悩んで葛藤する鈴音。


*場面転換


◯鈴音バイト先・放課後
葵とシフトが一緒。キッチンで片付けしてる鈴音に話しかける葵。
葵「最近、ユイくん家でどうですか?」平然と聞いてくる感じ
鈴音「どうって……。家であんまり顔合わせることないし。ここ最近話してもない……から」
葵「やっぱ鈴音先輩が避けるムーブはユイくんにとっては効果抜群だぁ。僕の兄が最近撮影一緒になったらしいんですけど、ユイくんボロボロみたいですよ」
鈴音「結都くんが仕事でミスするなんて考えられないよ」
何度か結都が仕事してる現場に行ったことがある鈴音。カメラが回ってるときはモデルのユイとして完璧な仕事をしていたのを知ってる。
葵「なんか身が入ってないっていうかー、自滅してる感じで。このままだといま表紙飾ってる雑誌の専属とかも外れるかもですね」
何も返す言葉がない鈴音。これ以上結都をかばうようなことを言ったら、それも脅しのネタにされるかもしれない。
葵「わかってますよね? 鈴音先輩の行動したいでユイくんの未来がこれからどうなるのか」


*場面転換


◯バイト終わり・夜
バイトから帰る途中、葵に言われたことが引っかかり、結都のことが気になる鈴音。
鈴音(最近、家に帰ってきてる様子もないし……。仕事忙しくて大変なのかな、ちゃんと休めてるのかな)
スマホを取り出して結都の連絡先を見つめる。
鈴音(前にもこんなことあった……よね。結都くんは周りに迷惑をかけないように自分が多少の無茶をしてもやり抜く人だから)
連絡を取りたい、でもここで取ったら……。迷った末に、連絡を取ることをやめる鈴音。


*場面転換


◯学校終わり・放課後
さらに1か月後。相変わらず結都とは距離があるまま。
ホームルームが終わり、スマホを確認すると結都のマネージャー山室からものすごい数の着信が。結都に何かあったのかと思って急いでかけ直す鈴音。
最近、撮影が立て込んでいて久しぶりのオフで1週間休みを取っていた結都。家に帰っているわけでもなく、携帯に連絡してもつながらない、心配したマネージャーが鈴音なら何か知っているかと思って電話してきた。
最近、結都に気力がなくて心配していた、目を離したらふらっとそのまま消えてしまいそうな空気感だったこともあり、何かあったらと思って心配してるマネージャー。
家に帰ると、マネージャーから連絡が来ていた鈴音母と結都父も心配して結都に連絡を取っていた。誰も結都の居場所がわからない状態。
両親も山室も結都をものすごく心配している。せめて居場所だけでもわかって連絡がつけば……と。
結都のことをよく知る結都父やマネージャーも行き先がわからない、結都が行きそうなところはすべて回ったけど結都の姿は見当たらない。探せるところはすべて探したので居場所の検討がつかない。
結都がこのままいなくなってしまうかもしれない、漠然とした不安に襲われる鈴音。
鈴音(こんな状態のままで、結都くんに二度と会えなくなるなんて嫌だよ……)
離れることが正解だと思っていた鈴音。こんな結末は誰も望んでいない。
自分が思いつく場所を考える鈴音。
鈴音(もしかしたら……)
ハッとして何か思いついたように家を飛び出す鈴音。可能性は低いかもしれないけど、結都がいるであろう場所をひとつだけ思いついた。


◯1話の回想
結都が嫌なことあったときにここから見る空が好きと言った部分
必死に走る鈴音。気づいたら夜になっていた。ビルの階段をのぼって、結都とはじめてあった屋上の扉を開けた。
鈴音の目線の先には1話で出会ったときと同じように空を見上げてる結都がいた。
鈴音「結都くん……!」
鈴音のほうにゆっくり結都が振り返る、結都の表情は気力が無い感じで。ふたりの目が合うのがラスト。




< 11 / 12 >

この作品をシェア

pagetop