毒舌男子の愛は甘い。
帰宅して、ベッドに倒れ込む。
カーテンの隙間から見える夜空は、少しだけ霞んでいて、でも静かだった。
スマホの画面をタップして、「水野凪」という名前を見る。
連絡先を交換したばかりなのに、その文字がどこか心強かった。
少しだけ迷ったあと、思い切ってメッセージを送る。
梓:
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今日はありがとう。いろいろ言ってくれて、ほんとに嬉しかったです。 ちゃんと前向きに頑張ろうって思えました。
……あ、もちろんこれは“お友達として”のお礼です!(念のため)
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送信したあと、画面を見つめて心臓がトクトクとうるさい。
既読にならない間の数秒が、やたらと長く感じる。
けれど、すぐに既読がついて、数秒後に返信が届いた。
凪:
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わざわざメッセージありがと。
素直に受け取ってくれるひと、珍しいから俺も嬉しかった。
あと、"お友達として"って強調するの、逆に怪しいから。
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「え、ちょっと失礼……」
ふっと笑ってしまった。
そのあと、また通知がひとつ。
凪:
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まあでも、そうやって慎重になるのはいいと思う。 焦らなくていいから、次の男は、ちゃんと見極めて、選べ。
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(……なんだろう、この人)
ぶっきらぼうなのに、やっぱり優しい。
思ったままを、素直に返した。
梓:
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ありがとう。 水野くんに言われたら、ちゃんと選ばなきゃって思えるかも。 また迷ったときは、相談してもいい?
(あくまで“お友達として”)
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少し間をおいて、返事が届いた。
凪:
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いいよ。毒舌でよければ。
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短い一言だったけど、その画面を見て、じんわり胸が温かくなる。
その言葉の奥には、ちゃんと“味方でいてくれる”という静かな誠実さがあって。
スマホをそっと枕元に置いた梓の顔には、自然と笑みが浮かんでいた。