クズなキミからの不適切な溺愛

第5章 初恋のキミとどこまでも

私の風邪が無事治り、出社して三日後のことだった。美玲が派遣会社を通じて退職したことが社員に伝えられた。

吉良くんは退職したからといって、私にした数々のことは許すことはできず、彼女は然るべき罰を受けるべきだと憤ってくれたが、私はこれ以上は何も望まないことを彼に告げた。

そして瞬く間に二週間が過ぎ去った。

正直、彼女のことをまだ思い出す。それに今も私自身、彼女を憎む気持ちもある。

でも彼女もあの悲しい事故の被害者であることは違いないから。

あの事故を境に私も彼女も心に傷を負ったのは同じであり、また彼女が私への憎しみと復讐でしか今まで生きてこられなかったことへ同情してしまうのも事実だ。


(同情なんて、嬉しくないだろうけど……)

少なくとも、彼女のそばに誰か支えて寄り添ってくれる人がいれば違っただろう。

(って、暗い話は考えるのやめよ)

(せっかくの金曜日だし)

(それに明日は……待ちに待った夏祭りだし)

「大丈夫、だよね」

彼と夏祭りに行くのは楽しみだが、ちゃんと告白できるのか緊張と不安もある。

でも彼へ自分のあるがままの気持ちをきちんと伝えて、彼さえ望んでくれるなら、これからもずっと一緒にいたい。

同じ景色を隣でずっと見ていたい。


(上手く言えなくても、好きな気持ちだけは絶対伝えよう)

私は、よしっと明日に向けて静かに気合いをいれると、パソコンをシャットダウンし事務所をあとにする。 

その時──スマホが震えた。
< 139 / 218 >

この作品をシェア

pagetop