クズなキミからの不適切な溺愛


「ただいまー、って……そっか」

俺は帰宅してから、今日は光莉さんから残業だと連絡がきていたことを思い出す。

俺は自分でジャケットをハンガーに掛けると、定位置に鞄を置いた。

ここ数日、光莉さんがしてくれていたことを自分でするだけで何となく寂しい。

(光莉さんに会いたいな)

(早く帰ってこないかな……)


俺が本部長に就任して今日で十日目。

会社では顔を合わすが、デスクを移動した俺は光莉さんと雑談はおろか、仕事の話も課長通じてなので会話がない。

勿論、公私混同はするつもりはないが以前よりも会社では光莉さんと距離ができて、これまた寂しい。

そして慣れた一人暮らしの部屋ですら、一人だと何だか侘しさまで感じてしまう。

「……俺って女々しいやつだったのか?」 

俺は腕を組むと首を傾けて考える。

(いやいや、待てよ。そんなキャラかよ)

(どっちかっていうと、クズキャラで生きてきただろうが)

(ん? 待てよ。いまはクズじゃないよな)

(じゃあ俺って何キャラなんだ?……やっぱトイプー……いやいや)


しばし天井を見ながら俺は首を傾けた。

(……でも気持ちわかんだよなぁ)
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