クズなキミからの不適切な溺愛
俺は動物と暮らしたことはない。でもテレビで時折見かける、お留守番をしているワンコが飼い主の帰りを心待ちにする気持ちが理解できてしまうのだ。

俺はやっぱりトイプーキャラなのかもしれない。

「まぁ、飼い主が光莉さんならなんでもいいや」

控えめに言っても、俺は光莉さんと付き合えて、現在進行形で舞い上がっている状況であり、できることなら二十四時間ずっと一緒にいたいと思えるほどにこの恋に溺れている。

そして暇さえあれば光莉さんで頭がいっぱいで、そろそろスマホのロック画を光莉さんの愛くるしい寝顔にしてしまおうかと思ったことも、一度や二度とじゃない。

(ってストーカーかよ!)

(ロック画とかキモいだろ)

「はぁあ……」

俺はガシガシと頭を掻いた。

「もっと……カッコいい俺見せたいのに、浮かぶのはくそダッセーやつばっかじゃん……」

(恋するって、こんなんなんだな)

暇さえあれば光莉さんのことばかりだ。でもそんな自分は嫌じゃない。

「てか、飯……」

そこまで口に出してから、ふいに俺はハッとした。

「やば。光莉さん、夜ご飯ウーバー頼んで先に食べてって言われてたんだった」

俺は慌ててスマホをスラックスのポケットから引っ張り出してから、ぴたりと動きを止めた。


(待てよ。光莉さんが仕事頑張ってんのに、俺だけ先に食う訳いくかよ)

「なんか……光莉さんに栄養あるもの作れないかな」

俺はすぐに初心者用の料理レシピを検索してみる。

「……ミネストローネ、ハードル高いな」

「クリームシチュー……くそっ、ルーがねぇ!」

「お……っ」

俺はスクロールしていた画面を指で止めると、冷蔵庫の中を覗き込んでから、腕まくりをした。

「これに決めた!」

俺は光莉さんのエプロンをつけると、すぐに台所に立った。
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