クズなキミからの不適切な溺愛


──金曜日、午後20時半。

俺は自宅アパートに辿り着くと、自室の窓からもれる明かりに目を細めた。
エレベーターに乗る時間すら、なんだか勿体無くて、俺は階段を駆け上がると玄関扉の鍵穴をすぐに回す。

「ただいまー」

「恩志くん、おかえりなさい」

玄関扉を開ければ、エプロン姿の光莉さんがすぐに駆け寄ってきた。

(今日のエプロン姿もマジで最高) 

(てか、髪結んでんのもいいよな)

俺は光莉さんのエプロン姿が結構、いやかなり好きだ。
こうしてエプロン姿で出迎えてくれるだけで、なんだか新婚気分に勝手になって、つい口元がにやけてしまう。

さらには、肩までの髪を一つに束ねてうなじが露わになっている姿は非常に色っぽい。

「ん? どうかした?」

「光莉さんが今日も可愛いなーって」

「またそんなこと言って」

「本当のことだし」

俺はすぐに光莉さんの真正面に立って覗き込む。彼女の頬はすでにほんのり赤い。
 
「ちょ……っと、近い」

「可愛いって言ったら照れるのも、可愛いです」

「……っ、もう……やめてよ」

(こういう反応が、そそるんだよなー)

俺が少し意地悪く揶揄ったり、好きだと口にするだけで光莉さんはすぐに照れて真っ赤になる。

俺のせいで頬を染める彼女は、何度見ても飽きることなんかない。

さらにはこの顔を俺が独り占めしてることをいつだって確かめたくて、俺は結構な頻度で彼女をこうして困らせては恥ずかしがらせている。

「──ねぇ、キスしていい?」

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