クズなキミからの不適切な溺愛
「《《光莉さん》》、おはようございます」

(光莉さん?!)

「な……っ。え、あの、ど、どうしたの?!」

「彼女にコーヒー淹れてあげたくて」

(か、彼女?!)


吉良くんはコーヒーを淹れたマグカップを二つ抱えていて一つは私の机に置く。

(これは……やっぱり付き合ってるの?!)

彼の表情や仕草は何と表現したらいいのかわからないが、今までとは違う。

「どうかしましたか?」

「いや……」

(期間限定とはいえ私も了承したんだから……問題はないけど)

そう思いつつも、私はデスクに座ると吉良くんに向かって叱るように目を細めた。

「社内では内緒にする約束だよね」

「わかってますよ。公私混同はしないですし誰にも言わないです」

「じゃあこういうのもやめて」

そう言った私に向かって、吉良くんが拗ねたような顔をする。

「だって連絡してくれないし」

「え?」

「俺、待ってたんですけど。でも光莉さんから結局連絡なかったし」

(ど、どう言うことよ?!)

「それは……吉良くんもじゃない。てっきりくるかと……」

慌てて口を手で塞げば、つい先程まで拗ねた顔をした彼が今度は嬉しそうにしている。

「それって俺からの連絡待ってくれてたってことすか?」

「それは……何て言うか……だってあんなに積極的だったし……」

「じゃあこれからは毎日沢山します」

「え?」

「なんか安心しました。がっつきすぎて嫌われたらどうしようって思ってたんで」

(女の子に慣れてるんじゃないの?)

(それともこれも吉良くんの策略?)


恋愛経験の少ない私は恋愛経験豊富な彼のことが全く読めない。

「てことでコーヒー飲みましょ。愛情たっぷりです」

「それは……どうもありがとう」

結局、朝から吉良くんのペースに大いに巻き込まれてるが嫌な気持ちがしないのは何故なんだろうか。

(気持ちがついていかない……)

(でもなんか朝から……癒された?)

吉良くんがにっこり笑うのをみながら、私はそっとマグカップに口付けた。

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