クズなキミからの不適切な溺愛
目を開けると和馬の手首を掴み上げた吉良くんが立っていた。

「間に合って良かった」

「吉良くん、どうして」

「心配できてみて良かったです」

彼は視線を和馬に向けたまま和馬の手首を更に捻り上げた。

「ぐっ……、くそ痛って、吉良離せよ!」

「嫌だって言ったら?」

吉良くんは見たこともない鋭い眼差しで和馬を睨みつけている。

「吉良、くん、もういいから」

「良くないすよ。俺の彼女殴ろうとしたんだから」

その言葉に和馬と美蘭が同時に目を見開いた。

「何だって??」

「彼女ってどう言うことよ!」

吉良くんは唇を引き上げると挑発的な視線を二人に向ける。

「俺と光莉さん、付き合ってるんで」

「はぁ?! ちょっと、吉良くんが何で新名さんなんかと」

「それって僕と二股してたってことかよ! とんだアバズレ……痛って!」

「黙れ。クズの犬井さんにはそこの馬鹿女がお似合いです」

「なっ、誰が馬鹿女よ!」

「この、調子乗んなよ吉良、……わっ」

彼は軽く突き飛ばすようにして和馬の手首を離すと、すぐさま私の肩をぐっと抱いた。


「次、彼女を傷つけたら許さないんで」

吉良くんの見たこともない冷たい眼差しに、二人が息を呑んだのがわかった。

そして和馬が目を泳がせてから搾り出すような声を出す。

「なんか……しらけたわ」

「う、ん。か、和馬いこ」

「お、おう」

静かな怒りを含んだ声色に気圧されたように二人は捨て台詞を吐くと、すぐに屋上をあとにした。


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