クズなキミからの不適切な溺愛
私はパソコンの電源を入れると、黙って彼の隣の自分のデスクに腰掛ける。すると隣から大きな手のひらが伸びてくる。

「はい、どうぞ」

「え?」 

吉良くんが手に持って差し出しているのは、私が自社製品のコーヒー飲料で一番好きなカフェラテだった。

「さっき自販機で買ったんでまだあったかいですよ」

「わぁっ、ありがとう! うちのコーヒーの中でこの『ラテ・ツリー』が一番好きなんだよね」

満面の笑みでそう言ってから、私は吉良くんがククッと笑うのをみてハッとする。

「えっと、ごめん。はしゃぎすぎた。年甲斐もなく」

「ほんと新名さんてうちの製品大好きですよね」

「好きだよ。この仕事は誰かの笑顔に繋がってるから」

「…………」

「何? どうかした?」

「……いいえ、なんでもないです」

私は吉良くんからコーヒーを受け取るとプルタブを開ける。すると隣からもプルタブを開ける音が聞こえた。

「さっきの私用って何あったの?」

「あー……いや、このタイミング的には大丈夫です」

「タイミング? 言いたくないならいいけど」

「いや別に言えない訳じゃないですけど」

吉良くんはカフェラテに口付けてから再び口を開いた。

「……まぁ実は今日の朝、女の子から付き合ってるのか聞かれて、違うって言ったら部屋追い出されたんすよね。で、家に帰ると時間微妙なんでそのまま出社しました」

「…………」

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