家族になった来栖くんと。




「女子にいろいろ陰でチクってたの、あんたでしょ。……安口」


「で、でも私は事実を言っただけだし…」


「…白山さんの気持ち、少しも考えなかったの?あんたを信用して白山さんは俺とのことを話してたんだろ」


「ええ…、だってそれってつぐみちゃんの事情ってだけでしょう…?むしろ私は来栖くんのことを好きなのにつぐみちゃんには黙って、ずっと隠し通してたんだよ…!?」



安口 渚。
この女が女子たちに言いふらしていた。

白山さんの前では友人の皮を被って、裏では女子たちに情報を渡して、そして俺たちの関係を壊した。



「私、なにか間違ってるかなあ…」



苦し紛れの「ありがとう」が、忘れられない。

マフラーに滴っていく涙が、忘れられない。


「もう苦しい」と、言って。


転んで、立ち上がって、それでも最後、俺に「楽しかった」「ありがとう」と伝えてきたすべてが。



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