家族になった来栖くんと。




「そこ、たぶん間違ってる」


「えっ……どうやればいいかな…」


「ちょっと見せて」


「は、はい…」



夕飯もお風呂も入って、21時が過ぎた私の部屋。

下の階から聞こえる大人たちの声が、わずかなBGMのようにもなっていた。


座卓に並んだのは私と来栖くんだ。



「あー、この問題の解き方は俺の参考書にあるから貸すよ。たしか30ページくらい」


「あ、ありがとう…!」



中間テストは来週。

どの高校も時期は同じのため、来栖くんに勉強を教われと強制的に命令してきたのは兄だった。


渋々教えてくれているわりには、彼は意外にもしっかり見てくれる。


それは最近の来栖くん自身の変化に引っ張られているのかもしれない。



「……で、こうなるから、ここの計算は変わるんだよね」



肩がそっと触れている。

向かい合う形の勉強会かと思えば、ほらここにも「ふとした時に」だ。


向かい側じゃなく隣に座ってくるなんて…。



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