家族になった来栖くんと。
「つぐみちゃんはさ。俺に少し任せてみなよ」
「え…?」
「“来栖くん”って言うところを“北斗くん”に変えて。過去を思い出しそうになったら、今に集中するんだ」
「いま……」
「…そ。いま、きみの目の前にいる人間は誰?」
私と話している人間は。
私と向き合って、私の涙をすくってくれている人間は。
「────…北斗くん」
「…それが質問の答え」
この人は慣れている。
女の子への触れ方も、間の取り方も、息づかいも、安心を与えてくれる手の位置だって。
乱暴じゃない。
今度こそ無理やりでも、急でもない、やさしいキスが落ちてきて、そっと離れる。
「まだ…完全には北斗くんを見れなくても…、それでもいいの…?」
「いーよ?」
「重ねちゃう部分とかっ、あるよ…?昨日も名前を間違えて呼んじゃったから…」
「そんなの許す許す」
「元カレと一緒に住んでて、親族だよ…?嫌じゃない…?」
「…ぶっちゃけると、それだけは嫌だ」
そりゃそうだ。
流れ的に許されるんじゃないかと期待した私のバカめ…。