家族になった来栖くんと。




「ひゃっ!北斗くんっ、ここ外っ」


「俺をおちょくってきた罰」



ガバっと包みこまれるというより、押しつぶされる勢いのハグ。

幸いこの遊歩道は、もう少し暗くなってから犬の散歩に使われる程度だった。



「しあわせー……」



私を抱きしめながら、それはそれは噛みしめるように。

私なんかより経験値が豊富だから、こんな経験を数え切れないくらいしているはずなのに…。


北斗くんはいつも、ぜんぶ「初めて」って顔をする。



「私も…しあわせ、だよ」


「…ちゅーしていい?」


「っ…、向こうの、東屋で…なら」


「我慢できないって言ったら?」


「そっ、それくらい我慢してって…、言う…」



愛おしさが爆発したのか吹き出すように笑った彼は立ち上がる。

ちょうどそこで私は、道端に咲いた小さな花を見つけた。


これ、なんの花だろう……?


言いかけて、デジャヴを感じて、ギリギリで飲み込むように止めた私に。



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