家族になった来栖くんと。




「ツタバウンラン」


「え…?」


「たぶん、この花の名前」



物知りなんだね、北斗くん。

タンポポくらいしか知らない私は、聞いたこともない名前だった。



「…そんな名前の花だったんだ……」



あの日の花と、よく似ている。

小さな紫色は、忙しく歩く人間たちには気づいてもらえない儚さを持っていた。



「あ。いま、重ねた?」


「……っ」


「思い出しちゃった?」


「……北斗、くん」



北斗くん、ほくとくん。

過去を思い出したときは今に集中して、その名前を呼びそうになったらあなたの名前を呼ぶ。


これが私たちの約束。



「小学生のときさ、こーいうやつ居なかった?図鑑をいつも持ってて、虫博士とか言われてるようなやつ」


「…いた、かも」


「俺ね、まさにそれだったんだよ。とくに植物の図鑑を持ってさ、だれも聞いてないのに説明し始めるやつ。完全に俺、クラスで嫌われてたと思うわー」



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