家族になった来栖くんと。




「…白山さんの……幸せのため」


「っ…、ひどいよ、そんなの…」


「うん、だよな、…その通りだよ。でも俺は…、俺がずっと好きなのは……」


「───はっくしょん…!!」


「…………」



あっ……、やばい…。

雰囲気ぶち壊し大会、優勝おめでとう私。



「……ふっ、ははっ」


「く、来栖くん…?」


「やば、ツボった…、くははっ」



顔が見たい。
どんな顔で笑っているんだろうって、見てみたい。

そんな私の興味を受け取ってくれた来栖くんは、ぎこちなさそうに身体を離した。



「…こんな顔だけど」


「……なに…、その…顔」


「黙って」


「………ばかだ」


「…それは白山さんもでしょ」



笑っているのか、泣いているのか、それは感情が決まりきらない表情だった。


後悔と、切なさと、慈しみと、愛おしさ。

ぜんぶが混ざって、言葉にならない表情とはこの顔を言うんだって、そう思うような。



「俺が怖い…?」


「…こわく……ない…」


「…触られたとこ、ぜんぶ教えて」


「…え……?」



リモコンで電気がピッと消されて、エアコンの冷房音が際立つなか、私のベッドが小さくギシッと音を立てる。

それはふたりぶんの重さに耐えた、音。



「なっ、なにしてるの…?」


「……元カレの特権」



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