家族になった来栖くんと。




「おいしい…!」


「ははっ、よかった」



こうしてゆっくりデートは、正直言うと初めてかもしれない。

あまり数えていなかったけれど、改めて気にすると付き合って3ヶ月は経った。


私の心も穏やかで、やっと静かに話せる季節が巡ってきたんだ。


ちなみに来栖くんとはあの日から、だんだん顔を合わせる頻度が減っていって。

私がひとりで放課後も帰宅できるようになった今、当分は顔を見ていない。



「…つぐみちゃん」



デザートのマスカットを食べ終えたところで、柔らかく名前が呼ばれた。

隣に座った北斗くんへと顔を向けた私は、その眼差しに思考が一瞬停止する。


どこか妙にスッキリしたような、それでいて大きな覚悟を決めた顔だったから。



「───俺たち別れよっか」


「……え…」


「今日はそれを伝えに来たんだ」



そういえば今日、手を繋ぐことはなかった。

待ち合わせ場所からこの原っぱに来るあいだ、私と北斗くんには微妙な距離があったこと。


もの寂しさを気にすることなく、笑っていた彼。



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