家族になった来栖くんと。
桃弥side




「なんでこうなった……」



旅館の一室のような和室に入って、荷物をとりあえず置いて。

事の発端を振り返る。

姉さんが悪いのか、両親が福岡に行ったことを黙っていた俺が悪いのか。


まあ、もう考えたって意味ない。


ただどこかしこからも忘れられない柔軟剤の匂いがして、落ち着かないだけ。



「く、来栖くん…」



襖の前、か細い声。

聞くといちいち緊張すんのも、いい加減やめたい。



「お風呂、入っていいよ…?」


「…わかった」


「…うん。今日はいろいろあって疲れちゃってると思うから…、ゆっくりしてね」



そーいう気遣いも困るんだよ。
やさしい言葉なんかかけてどーすんの。

俺を振ったくせに今更なに?って気持ちは確かにある。


あるけど……だからって心から軽蔑して雑に扱うなんてできそうにない。


姉の旦那の妹が、元カノだった。

まったくもって意味が分からない偶然だ。



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